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世の中の9割は投資で動いている

世の中にあるお金がどのように動いているのかについて、考えたことはあるでしょうか?
世の中にお金が循環している仕組みを簡単にいうと、国が国債を発行して得たお金を国の事業や社会保障などに使い、中央銀行(日本銀行=日銀)が銀行券を発行して金融機関に資金を貸し出す、というシステムになっています。


つまり国債に投資することで、世の中の人や物、お金や情報など経済が動いているのです。
この国債は金融機関や企業、投資家が保有しており、国が破綻しない限り償還されるため安心できる資産だといわれています。


財源調達の国債とは

国債は財政の状況に応じて、財源を調達するために国が発行する債券で、正式には国庫債券といいます。
国は公共事業や復興事業、国民生活の維持向上などのために、国債を発行してお金を集め国の事業などに使うことで暮らしや生活を支えているのです。


また国債を一般的な金融機関が多く買い取り、日銀が金融機関からその国債を買って同じだけのお金を発行することで、世の中にお金を循環させています。
だからこそ国債を発行している国の信用リスクは常に判断されており、格付けが下がると国債を保有している金融機関などが影響を受けるという密接な関係にあります。


日本の国債は世界でみても低金利で発行されていますが、すぐに売れていることから市場の信用度は非常に高く安全な資産だとみなされています。


多くの投資家が国債を保有している

国はお金を集めるために国債を発行しており、そのほとんどを国内の金融機関や企業、投資家などが保有しています。
よって信頼できる債券として、価格変動リスクが低く市場規模も大きいので、安心して保有し売りたいときに売れるというメリットがあります。


また外国債と違って利益を得られる投資ではなく、安全資産として長期保有することが一般的です。
国債の価格変動は、住宅ローン金利や社債金利にも同じように変動するため、資産家は経済面に多くの影響を与えるというリスクや特性を認識し運用しています。


国債の種類

国の事業のために発行する国債は、目的が異なるいくつかの種類に分かれています。
利払い・償還財源が主に税財源で賄われている国債を普通国債といい、財政赤字時に資金調達を行う際に発行される国債を赤字国債といいます。


普通国債と赤字国債についてもう少し詳しくご紹介します。


普通国債

普通国債には建設国債、特例国債、年金特例国債、復興債、借換債があります。
建設国債とは、道路や住宅、港湾など社会資本を建設するための財源として財政法第4条第1項ただし書きに基づいて発行されている国債です。
年金特例国債とは、基礎年金の国庫負担の追加に伴い、見込まれる費用の財源となる税収が入るまでのつなぎとして法律に基づき発行される国債をさします。


復興債とは、東日本大震災からの復興の施策を実施するために、必要な財源となる税収等が入るまでのつなぎとして、特別措置法に基づいて発行される国債です。
そして借換債とは、普通国債の償還額の一部を借り換える資金を調達するために、特別会計に関する法律に基づき発行される国債のことです。


赤字国債(特例国債)

赤字国債は建設国債を発行しても不足すると見込まれるときに、法律に基づいて公共事業以外に充てるために発行される特例国債です。
これは普通国債の一部で一般会計に含まれ、主に社会保障費や防衛費に使われます。


なぜなら財政法では赤字国債の発行は禁止されているため、毎年度特例法を成立させなければ発行できない仕組みになっているのです。
通常、特例国債と呼ばれますが、性質上、赤字国債と呼ばれることもあります。
ちなみに1000兆円ほどの赤字国債を抱える日本は借金大国で、その多額の借金を次世代に背負わせることができるのかが国会の議論に上がっていることはご存じでしょうか。


これを補うために消費税を15%程まで引き上げて財政赤字を補うことへの懸念や、安直な赤字国債を発行することに対しての反発があることも併せて知識として知っておきましょう。

日銀の役割

日銀(日本銀行)には日本の中央銀行として物価を安定させるための、発券銀行、銀行の銀行、政府の銀行という機能があります。
発券銀行として、現金となる紙幣を世の中の需要を予測して発券し、流通する紙幣の管理や使えなくなった紙幣の回収、処分を行っているのです。


銀行の銀行とは、市中銀行は日銀に対して口座開設や預け入れ、資金不足の際に借入や国債の売買、決済などを行います。
政府の銀行として日本政府に対して税金や社会保険料、年金などの支払や国債に関する事務を行いますが、日銀は日本政府に対して貸し出しをすることはできません。


また景気を調整するため、公開市場操作や預金準備率操作、公定歩合操作を行います。
公開市場操作は、市中銀行の資金量を増減し景気やお金の循環を良くするための操作です。
よって市中銀行は預金残高の一定比率を日銀に預けることが義務化されています。
ちなみにこの預金準備率の比率を変えることで景気調整を図ってきましたが、短期金融市場になり1991年以降は変更されなくなりました。


公定歩合は金利自由化により、基準割引率および基準貸付利率と名称変更し、コールレートを資金調達レートの上限とすることで機能しています。
大見出し:買いオペと売りオペ買いオペ(買いオペレーション)とは、日銀が市中銀行などから国債などの有価証券を買うことで通貨供給量が増加し、銀行の貸出金利は低下する現象のことです。


そのため住宅投資や設備投資、経済全体の投資が増加し、生産性や収益の増加、雇用の改善や個人の購買意欲が増すことで景気回復につなげます。
逆に売りオペ(売りオペレーション)は、日銀が市中銀行などへ国債などの有価証券を売却することで、金融市場から通貨を吸い上げる金融政策のことです。


金融市場や個人、企業に回る通貨量が減ることで、市中のお金のだぶつきをなくす効果があるのです。
このように買いオペと売りオペにより、通貨量や金利を調整することで日銀は景気や物価をコントロールしています。


まとめ

世の中の9割は投資で動いていることについて、国の財源となる国債をご紹介しました。
保有の有無にかかわらず、国債はあくまでも国の借金で、国民の借金といわれています。


ただし国民が銀行に預金することで、銀行は帳簿の上で借金になり、お金を借りているのは政府で、貸しているのは国民と説明している大臣もいるほどなので、認識には個人差が出るかもしれません。


世の中が変化し続けている時代に、日本の赤字国債がどのようになるのか注視しなければなりま
せんね。