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バーチャル株式の罠

バーチャルの世界で株取引ができる、バーチャル株式をご存知でしょうか。
現実のお金を失うということがないため、ゲームのように株取引を体験できます。
取り扱い銘柄は、東証1部や東証2部、ジャスダックなどの市場から選べるので、本当に取引をしているような感覚で試すことができます。
しかし、バーチャルの取引と実際の取引は全く異なるため、問題点もあるのです。
今回は、バーチャル株式のはじめ方や問題点をご紹介します。

バーチャル株式投資とは

バーチャル株式投資では、仮想の投資資金を使って、バーチャルの世界で株取引を体験できます。
パソコンやスマホのアプリから始められるので、時間が空いた時にいつでも試すことが可能です。
株取引に使う資金はアプリ内の仮想のお金で、取引手数料なども同様です。
現実の通貨ではないため、損をすることはありません。
そのため、安心して株取引を試すことができます。
日本は海外に比べて、金融教育がほとんど行われていませんが、バーチャル株式投資はゲームのような感覚で、楽しく知識を増やすことが可能です。
バーチャル株式投資は、遊びながら簡単に投資について学べるツールといえます。

バーチャル株式投資の進め方

バーチャル株式投資は、Web登録やアプリをダウンロードしてはじめられます。
初めに仮想の資金が提供され、有名な企業の株価で取引ができます。
取引では、現物取引か信用取引を選択できる会社もあり、リアルな取引が可能です。
気になる銘柄名を選択して、その企業の詳しい内容を確認しましょう。
株価の始値や終値、出来高、売買代金、連結PERなど、投資の判断指標を比べて、何を購入するのか決めます。
また、注文では成行注文や指値注文など、実際の取引と同じように設定できる会社もあります。
バーチャル株式投資の株価情報には約20分のタイムラグがあり、注文から約定まで20分以上必要です。

実際の株式取引との違い

バーチャル株式での取引は、実際の株式取引とは多くの違いがあります。
また、バーチャル株式のサービス運営会社によって、内容が多少異なる部分があります。
ここでは、実際の取引との違いを確認してみましょう

選べる銘柄

バーチャル株式投資で選べる銘柄は、実際に上場している企業の他に、架空の企業名が使われることもあります。
一方、実際の取引の場合は、国内株式と国外株式の2つに分けることができます。
国内株式は東証やジャスダック上場銘柄、外国株式は国内および海外での上場銘柄があるのです。
なお、上場銘柄とは、東証をはじめとする証券取引所で売買されている株式のことです。

購入時

バーチャル株式は、基本的に1株から買うことが可能で、数量・条件・価格を入力する会社もあります。
しかし、実際に取引する時は、企業ごとに株数の売買単位が決められています。
これは単元株制度と言って、会社で定められた一定の株数を持っていないと、株式売買を行うことができない制度です。
また、バーチャルでは、仮想資金の残高を超える買い注文を出すことはできません。
対して、実際に取引で買付注文をする際は、原則として買付代金を事前に預けなければなりません。
さらに、証券会社に預けている株式を担保にして、購入することも可能です。

注文方法など

バーチャル株式で取引する際の注文方法は、購入・売却どちらも銘柄名と株数を指定します。
対して、実際の取引で指定することは、銘柄名・株の数量・指値または成行・発注年月日・注文の有効期間が必要です。
また、バーチャル株式は、1日で注文できる件数は売り買い合わせて50件までですが、実際に取引する時は、基本的に制限はありません。

売買価格と手数料

売買価格が適用される決まりは、扱っている会社によって違います。
バーチャル株式投資の売買価格は、注文した時刻にかかわらず、平日なら当日の終値、休日なら前営業日の終値が適用されます。
実際の取引の場合は、注文した時刻以降で、注文が成立した際の時価が適用されるのです。
また、バーチャル株式投資の手数料は、購入時・売却時ともに「株数×単価」の1%になります。
しかし、実際の取引は手数料が自由化されたため、証券会社ごとに問い合わせが必要です。

注文成立と売却

バーチャル株式の取引では、終値が確定する以前に出した注文が、終値の値によって不成立になることがあります。
また、売却時は1株単位で株数を指定するのが基本です。
実際の取引の場合、売りたい人と買いたい人の株価と株数が一致した場合、取引が成立します。
また、売却は売買単位に従って株数を指定します。

株式分割と課税

バーチャルの株式分割は、分割日に持分に応じて配分され、売却も可能で課税もされません。
株式分割は分割日に受ける権利を得ますが、実際には約50日程度必要です。
また、年間の売買損益を通算して利益が出た場合、利益に対し約20%税金がかかります。

購入後のお金の精算

バーチャル株式投資では仮想の資金を使用するため、利益や損失はバーチャルの世界だけです。
購入や売却時は、翌日にその代金が仮想資金から差し引かれます。
実際の取引の場合、注文が成立したら、購入・売却が成立した日から通常4営業日目までに代金支払い、もしくは入金がされます。

バーチャル株式投資の問題点

バーチャル株式投資は、仮想のお金を使って株式投資ができますが、少し問題点があります。
投資は、リアルな銘柄で行いますが、全て仮想のため感情が動くことはありません。
また、現実のお金ではないため、大損してお金が減っても被害はなく、無茶苦茶な取引をしてしまいがちです。
バーチャルだからとゲームのように考えている意識が強いと、リスク管理の意識が弱くなりますので、注意しなければならないでしょう。
実際に自分のお金を使うと、失うことのプレッシャーが大きく異なります。
そのため、バーチャルと同じように何の根拠もなく取引をすると、あっという間に自己資金を失うでしょう。

まとめ

バーチャル株式取引について、実際の取引との違いなどをご紹介しました。
ゲームのように体験できるバーチャルな取引は、思うように利益を得られて簡単に感じるかもしれません。
しかし、実際にはずっと勝ち続けることが、非常に難しいのです。
本来の株式取引は、プレッシャーがあることを理解して、実際に始めるときには少ない額から挑戦し、時には損を経験しながら、真剣に取引することが大切です。