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投資=ネットワークビジネス

投資とは、本来自らの未来の資産を確保・増加させることを目的として、現在保有している資産を企業や金融商品に投じることを指します。


しかし近年、比較的若い世代においては投資への興味が薄れるとともに「投資=ネットワークビジネス」という誤った構図が浸透していることをご存知でしょうか。
また、この構図が認知されるようになった背景には、SNSを利用した悪徳商法による詐欺被害が存在しているのです。


そこで今回は、本来投資が持っている意味合いを再確認し、ネットワークビジネスとの違いについて考察したいと思います。


本来の投資とは何か

投資とは、自身の将来設計にあたって必要な資産を確保、増加させる目的で資本を投じる行為です。
経営が安定している大企業へ投資することで、資産を比較的低リスクで地道に増加させることや、対照的に成長が見込まれるベンチャー企業に投資することでリスクを伴いながらも資産を急速に増加させることができます。
加えて保有通貨を国内通貨と外貨とに分けることで、自国の経済状態が悪化することに対してリスクを分散させることもできるのです。


しかし、近年では20~30代といった比較的若い世代に、投資が誤った認識を伴って浸透しつつあり、そのほとんどが本来の投資にあるべきはずの「長期的な視点」とは正反対の極めて「短期的な視点」でなされています。
誤った認識の投資はネットワークビジネスに似た構造を持ちながら、SNSによって徐々に若年層に拡がりつつあるのです。


では、ネットワークビジネスとはどのような構造を持っているのか、次でご紹介していきます。


ネットワークビジネスの構造

ネットワークビジネスとは、顧客が新たな顧客を産みだすことによって利益を得るビジネス形態のことを指します。
本来は違法行為には当たりませんが、いわゆる「ねずみ講」や「マルチ商法」という言葉で連想されるような悪徳商法と混同されがちです。


もちろん、全てのネットワークビジネスが「ねずみ講」や「マルチ商法」のような違法性を孕んでいる訳ではありませんが、そのようなケースが多いのも事実です。
ただし、このような違法性を持ったビジネスは構造が広く知られていることもあり、現代ではその被害に遭う人は減少傾向にあります。
一方で被害が絶えないその理由は、SNSの普及にあるのです。


ネットワークビジネスとしての投資に潜む罠

現在、上記で紹介したような誤った認識の投資は、その多くが外国為替証拠金取引(FX)やバイナリーオプション取引などの、必勝を謳った情報商材によってなされます。
多くの場合、株価の上昇あるいは下降を予想することで利益が生まれる金融商品を紹介し、法外な金額を支払わされるというものです。


また、それをSNSで拡散させることで利益を得ている集団も増えています。
その手口は巧妙であり、あたかもその必勝法のレクチャーを受けると誰でも一日に数十万円単位の利益を出すことができるように偽っているのです。


さらには、架空の顧客とのやり取りの様子を宣伝し、「成功者は必ず挑戦し続けている」や「人生の勝者になるには行動力だけでいい」などの勧誘行為が行われているので注意する必要があります。


そのような記事を見ているうちに「これで勝ち組になれる」と言う幻想と共に、高額な情報商材を購入する人もいるでしょう。
また、その損失を補填するために同じ情報商材を友人に紹介し、財布も友好関係も冷え切ってからようやく被害を自覚するのです。


このようなケースが、悪質なネットワークビジネスに潜む罠です。


「投資=ネットワークビジネス」という構図

このような悪徳商法も存在するため、若年世代においては「投資=ネットワークビジネス」という誤った認識が定着しつつあります。
投資とネットワークビジネスはいずれも違法性は無いものの、ネットワークビジネスが負のイメージと強く結びついており、投資とこの二つが等号で結ばれることによって、投資すらもいかがわしい存在として認知されるようになったのです。


このような悪質商法の被害を受けないためには、投資の本来の在り方を見直す必要があります。
最重要視することは「長期的な視点」です。
被害者の大多数は目先の利益を求めて短期的な視点しか持てなかったため、罠に陥ってしまうということを心得ておきましょう。


また、一度与えられた価値観を広い視野で見直すことも重要です。
今回取り上げているような悪徳商法の要は、価値観の塗り替えにあります。
もともとは全く相関関係の存在しない金の価値と、人生の勝敗とを関連付けることで「金持ち=勝者」という関係を徹底的に刷り込まれ、また勝者となるための最短ルートとしてあり得ないような儲け話を持ち込もうとするのです。


これはある種の洗脳と捉えることもでき、ゆえに一度その価値観に染まってしまえば、それを疑うことをせず、急激にのめりこんでしまいます。
そうなる前に、一歩引いた「広い視野」を取り戻すことが重要になりますので、上記のような甘い誘惑には乗らないようにしてください。
「長期的な視点」と「広い視野」を併せ持つことが、このような悪徳商法から身を守る有効な手段であるといえます。


まとめ

投資とは、将来設計を堅実に行った上で、自身の資産の確保と増加を図るものであり、それには「長期的な視点」が必要不可欠です。
また、ネットワークビジネスとは顧客が顧客を呼ぶことで利益が生み出される形態のビジネスを指します。


一見無関係に見えるこの二つですが近年、SNSが普及したこともあり「投資=ネットワークビジネス」という誤った認識が広がっていることも事実です。
この現象は、利益を得る取引の必勝法を謳った情報商材を購入させる手口であり、一度被害を被ってしまうとそれを補填しようと、知人にも同様の商品を紹介することになってしまいます。


また、この悪徳商法の恐ろしさは誤った価値観を刷り込まれてしまい、周囲が見えなくなってしまうことにあるので注意が必要です。


リスクを回避するには、本来投資に必要である「長期的視点」と、自身が陥っている誤った価値観から脱却するための「広い視野」を持つことが重要になるでしょう。