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投資を拒否する日本人

資産運用である投資を拒否する日本人と、世界中の株式や債券に分散投資した外国人を比べると、総資産の差が10倍になっていたという事実をご存じでしょうか。
日本では給与は銀行に預けておくのが安心で、投資などの運用は必要ないと考えている人が多くいます。
投資はリスクを伴うので、資産運用に利用するのかしないのかは個人の自由です。
しかし少しでも興味があれば、まずは情報収集をして判断材料を揃えるのも大切ではないでしょうか。


今回はそんな投資についてご紹介します。


根強い普通預金の安全神話

日本人がリスクを伴う資産運用をしなかった大きな理由の一つには、バブル期まで預貯金の利率が5%以上だったので、預けるだけで資産を増やせていたという背景が関係します。
この体験をした世代の根強い普通預金の安全神話が、いまだに残っているというのが現状なのです。
だからこそゼロ金利が続いている現在も、十分な利息も得られないにもかかわらず、継続して普通預金や定期預金をしているのです。


また預金保護の安心感が、彼らの資金を現預金に滞留させている原因のひとつでもあります。
普通預金や定期預金は預金保護の対象で、金融機関ごとに預金者1人あたり元本1000万円と、破綻日までの利息などが保護されています。


実際に投資を拒否している人のなかには、1000万円以内の現金を、ゆうちょ、都市銀行、地方銀行など保護される口座に分散して保有しているのです。
この運用自体が、分散投資で得られる大きな利益との間に差を生む要因なのですが、それでも彼らは投資商品を勧められても拒否するでしょう。


昭和21年のハイパーインフレがこれから先に発生する可能性は現時点では考えにくいのです。
それよりも現金貯金に固執せず、多様な資産を保有する方が変化の大きいこれからの時代には柔軟かもしれません。


消えないバブル崩壊の損失

1990年代初頭に起こったバブル崩壊の際には、経済が破綻し景気が急速に後退して、大きな損失を被った企業や投資家が多くいました。
現在当時の傷はほとんど癒えつつありますが、にわか投資家の消えないバブル崩壊後の損失は忘れられない大きいものだったといえるでしょう。


その頃は金融業界、不動産業界、すべての業界が利益を得る潤った時代だったため、人々の財布の紐は緩く、何でも成功するイメージが社会全体にありました。
しかし、バブル崩壊によって土地神話が崩れ、好景気時に購入した不動産は急激に価値が下落したため売却損やオーバーローンが問題視されました。


株価も株式、債券、円が揃って値を下げた「トリプル安」と言われ、不動産会社や建設会社など多
くの企業が倒産の危機に直面し、最終的には金融機関までもが倒産する事態になったのです。
不動産価格が上昇した最中では、大手企業だけではなく中小企業や資産家が、不動産投資のために銀行から不動産を担保に融資を取り付けていました。


日本中がお金を借りて株を買い、いくらでも株価が上がるという夢のスパイラルに陥り、財テクによって得た資金は株や不動産、設備投資などに流れるという好景気に浮かれ過ぎたのです。
そうしてバブル崩壊が起こって初めて現実に戻り、どうやっても取り返せない損失に「もう投資はこりごり」という概念が刷り込まれていったのです。


老後2000万円問題

金融庁が発表した老後2000万円問題は、無職世帯の夫婦が老後20~30年間を生活するための資金として、実収入のほかに補てんする必要があるという内容でした。
これは毎月の収入や消費支出により算出されているため、いま非常に注目を集めています。
なぜなら、老後生活の大きな柱である定年退職時の退職給付金は、年々減少しているからです。


最近は1つの企業で定年まで勤めるのではなく、複数回の転職やフリーランスなど様々なキャリアのとり方があり、これまでの時代とは退職金の額に差があることも容易に予想できます。


2000万円問題をきっかけに、老後を迎えるまでに支出を減らし、収入を増やすための投資を検討する必要がある未来が予想されます。
老後生活を安定させるために、まずは投資などの資産運用から住まいの確保・税金の対策まで、ライフステージ別に幅広く対応していきましょう。


投資知識はいらない、利息が欲しい

昨今、高齢化社会といわれ今後も社会環境が劇的に変化すると予想されるなかで、30代を中心に資産運用の関心が高まりつつあることは想像に容易いかと思います。


しかし、老後資産を増やすためのセミナーでは、金融や投資に関する知識はいらない、今後も勉強はしないという意見を持つ人が7割を超えます。
セミナーで知識を得ずに利益が欲しいという人の多くは、資産の使い方や運用がもたらす利益を理解できないまま、投機的な運用をしようとします。


こういった安易な運用方法をとってしまうと、金融リテラシーが低いまま資産を増やすために投機をすることになり、結局はバブル時のように大損失を免れない可能性が高くなります。


資産形成は長期運用、積立、分散投資が必要で、世界情勢や社会経済に目を向け状況を察知して投資を行い、利益を得ることが何より重要になります。
投資を検討している際は、投資に必要な知識と情報を得て正しく運用できる商品・銘柄・特性を見極める目を養いましょう。


金融業界の新しい動き

世の中のデジタル化が進み、金融業界の新しい金融サービスが出始めています。
みずほ銀行では口座開設を対象に、1100円の通帳発行費用を顧客が負担することになっています。
また、りそな銀行では2年間入出金がない口座について、事前通知の上で口座管理手数料1320円(税込み)が差し引かれ、残高がゼロになったら口座は解約されるというシステムです。
(対象は2004年4月以降の開設口座)


日本では口座管理手数料は無料なので、違和感を覚える消費者も少なくありませんが、外資系の銀行では維持手数料を口座開設の条件としていることがあります。
米国の多くの銀行では利用条件の規定に満たない場合や、預金の下限を下回った場合、最低残高手数料や維持手数料が発生するということをご存じでしょうか。


この他にも、口座管理手数料を徴収することや、事業そのものを見直し新市場の創出、銀行自体の定義を変えるような金融機関の動きもみられますので、運用の一環としてこちらもチェックしておきましょう。


まとめ

投資を拒否する日本人について、預貯金だけで安心だった時代から損失により一時的に投資から遠のき、また資産運用の需要が上がってきた現代までの遍歴をご紹介しました。


金融資産に関する知識や問題などについて、これからは資産運用をしなければ老後の資産は確保できない時代が来るかもしれません。


そして、仮想通貨の出現により金融業界全体も猛スピードで改革や変化が進むでしょう。
これから先は、金融リテラシーを高め投資を拒否する時代ではなくなるのかもしれません。
ぜひ将来について投資を前向きに考えるとともに、改めて資産運用について検討してみましょう。