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日本から投資という教育を排除した理由

日本では数学や国語そして英語などは勉強をしますが、投資の教育がされることがありませんでした。
なぜ、どういった背景から投資教育が排除されてしまったのでしょうか。


今回は、日本では投資の教育が行われてこなかった理由について迫ってみたいと思います。


これを知ると、日本人があまり投資について関心を持たない原因についても分かるかもしれません。


投資の教育をしない現状

まずは、投資の教育をしないという日本の現状について見ていきましょう。
この現状を知ることで、なぜ投資の教育をしないのかという理由も浮き彫りになると考えられます。


投資を教育しない現状について、知っておきましょう


日本人は投資をしなくても良かった?

日本人は、総計で1800兆円ほどの個人資産があるとされています。
その中の52%ほどは、保管と言えるような預貯金として運用されているため、日本人は貯蓄を好むとみなされることも少なくありません。


海外の国を見てみると、貯蓄の割合は欧州の先進国では20%から30%台となっていて、アメリカに至っては13%程度に過ぎないのです。


この点からも、日本人が投資に関心を持たない理由が分かるかもしれません。
とはいえ、皆が投資に興味がないわけでもなく、仮想通貨やFXに取り組む方もいます。


この様に、日本人は投資を敬遠している方も多い一方で、リスクのある投資を行う方もいるという点で、海外の方から見れば不思議に思われる可能性もあるでしょう。


お金の教育がされない日本

日本人の投資に対してのリテラシーが低いのは、日本ではお金についての教育が全くされていない点が、最大の理由であると考えられます。


日本での学校教育では、お金にまつわる事柄を教えられることがほとんどないでしょう。


投資とは一体どういったものなのか、株式とは何か、利回りとは何かといった、資産運用をする際や金融には不可欠となる基本を、教えてもらえるタイミングがないのです。


そもそも教師自体が、そうした知識を持っていません。
さらに、日本では家でもお金の教育は行われないでしょう。


高度成長期の後から、がむしゃらに働いて稼ぎ、貯金をしていってローンでマイホームを建てるといった価値観が、今までの家庭では当たり前でした。
それもあり、お金についての知識を有している家庭が少なく、家庭でも投資はおろかお金の教育はされてこなかったのです。


金融リテラシーが身に付かない?

上記のように、学校でも家庭でもお金の教育がされてこなかったことから、お金の知識が身に付かず成長します。
自分から投資を学びたいと考えるきかっけがあり、自ら動こうとしない限り、正確な金融リテラシーが身に付かずに人生を送ることになるでしょう。


それでは、投資に関心が向くことも難しいかもしれません。


金銭についての感覚の違いがある

外国人と日本人とでは、物事の考え方や感覚が異なる面があります。
それは金銭に関しての感覚についても同様です。


では、外国人と日本人でどの様な金銭感覚の違いがあるのでしょうか。


外国人に理解し難い日本人の金銭感覚

日本の普通預金金利は低いですが、それでもお金を預けている方は多くいます。
貯金をしている方が多い理由は、日本人に定着している心理状態にあるかもしれません。


日本人は、”お金は真面目に働いて稼ぐもの”や”お金儲けはいやらしいものだ”、”清貧こそが素晴らしい”、”お金は使うものではなくコツコツと貯めるもの”などといった考えが根付いている方が多いです。


そうしたことから、いつの間にかお金は汚いものであるという観念が生まれてしまっていることが考えられるでしょう。
こうした金銭感覚は、外国人にとっては理解し難いものです。

各国の金融経済の教育とは?

続いては、各国の金融経済に関しての教育について見ていきましょう。
実は、お金に関する捉え方の違いが如実に現れるのは、教育現場です。
各国ではどういった違いがあるのでしょうか。


イギリス

イギリスにはシチズンシップ教育があります。
これは金融も含まれる経済教育として、11歳から16歳までの子供に施される必須の教科です。
自身のお金を上手に管理して、金融面での決定を健全にできるように準備をするべきであるという趣旨があります。


また他にも、将来的に必要となるお金の計画ができるようにするという趣旨も持ち合わせているでしょう。
貨幣がどういった役割を果たしているのか、社会経済、自身の生活と貨幣の繋がりについて具体的に理解し、投資やリスク管理についても学ぶのがポイントです。


アメリカ

アメリカ全土に共通した教育課程はありませんが、それぞれの州や団体、学校で取り組みが行われています。
2003年に『金融リテラシー及び金融教育改善法』が発布され、これに基づいて若年層のための金融教育についでの組織が設立されました。
この組織は、教材等を提供したりしています。


オーストラリア

最近では、世界的に資本主義に基づいた自由市場経済が叫ばれていますが、オーストラリアでは、融経済の教育が重要だという認識をより強く持つという見方により、ナショナルカリキュラムである『経済とビジネス』が実施されています。
『パーソナル・ファイナンス』においては、『消費・貯蓄・投資』が集中して取り扱われているのが特徴です。


金融教育スタートの兆し

日本でも、お金の教育をしないままではありません。
今後、金融教育がスタートの兆しを見せているのです。
どういった教育が始まるのか、見てみましょう。


新学習指導要領に金融教育が追加!

文部科学省が定めるカリキュラムの基準である『学習指導要領』は、10年ごとに改訂されています。


次の改訂に伴い、新学習指導要領には金融教科が追加になるのです。
『生きる力 学びの、その先へ』がテーマになっていて、学んだことが将来に繋がるようにプログラミング教育や外国語教育などに加えて、金融教育も加わることになりました。


授業が資産形成のきっかけに

教師が現実に合った金融教育をするためには、教師自体が資産形成や投資に馴染む必要があります。
金融庁は、教師のサポートの一環としてシンポジウムも開催しました。
この様に、教師が投資などに馴染んでいくことで『投資を始めてみようか』と思うようになる可能性もあるでしょう。


高校の家庭科で投資信託

2022年度より、高校の家庭科で金融教育が行われることが決まりました。
生涯を見越したリスク管理の考え方および、金融商品にはどういったメリットやデメリットがあるのか、そして資産形成について学ぶことになります。
2022年4月より、高校生は家庭科の授業で金融教育や投資信託について授業を受けるのです。


暮らしはどう変わる?

いつまでも、時代は今のままと同じというわけではありません。
私たちの暮らしは、一体どのように変わるのでしょうか。
今後の暮らしの見通しについても見ていきましょう。

学校で金融教育を行う時代へ

ご紹介した通り、今後は日本も学校で金融教育を行うようになっていきます。
学生の頃から投資に馴染んでおくと、きっと社会人になってからの資産形成の役にも立つでしょう。


学生時代から金融教育が行われることになったのは、”人生100年時代”の到来に備えた、資産形成についての知識を得ておこうという点が背景にあるのです。


おこづかいで投資信託の積立

学生であっても、銀行あるいは証券に口座を開設して投資信託の積み立てをすることが可能です。
僅かなおこづかいでも、投資信託の積み立てをする学生も増加することも考えられるでしょう。


それに親世代も、子供の見本になるために投資に馴染んでおくことも大事です。
これまで躊躇していた方も、つみたてニーサなどを始めてみるのも一案となります。


まとめ

日本人は貯蓄をしてきたため、投資をすることがありませんでした。
それは、日本人が持つお金に対する価値観も理由となっている可能性もあるでしょう。


投資の教育をされなかったために、投資をする方が少ない日本ですが、これからは金融教育が行われるようになります。
お金に対する既成概念は変わり、今後は投資への関心を持つ方も増える可能性があるのです。