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アジアでも日本だけ取り残される、投資

投資は、自らの将来設計のためにも、世界的に多くの人々によって行われています。
なぜなら、未来の資産を増やし確保しておくための手段として極めて有効であるからです。


しかし一口に投資といっても、その戦略は実にさまざまであり、時代の移り変わりとともにその最適解は刻一刻と変化しています。
世界規模で通貨をやり取りできる今日において、多くの外国人投資家は、国内通貨のみならず外貨を取り扱うことで収益を得ていることはご存知でしょうか。


投資の世界で、今後も継続的に多額の損失を被ることなく着実に資産を確保するためには、グローバルな視野を持つことが重要です。


そこで今回は、日本の投資の在り方と海外、特に近隣のアジア諸国との比較について解説します。


日本の投資形態

現在、日本人の投資家の多くは自国の通貨を企業などに投じることによって、将来設計を行うことがメジャーになっています。
しかし、この手法ではグローバルな観点を持っているとはいえず、世界から取り残されることになりかねません。


なぜなら、投資の基本は「通貨」と「投資先」の2つを多数ある中から自分で選んで組み合わせることにあるからです。
日本人は「日本円」と「日本企業」の中から選択してしまうため、銘柄や投資商品による差はあるものの、投資の醍醐味を知らないままに資産を運用しているといえます。


また、日本は投資に関心を寄せる人の数が世界と比較しても少ないのが現状です。
上記から、資産を確保するための手段として各国では投資に対する意識が高まっている中、日本人の投資に関する考え方は未熟であると言わざるを得ません。
もちろん、投資についての充分な知識を持っている人もいないわけではありませんが、やはりそれは少数派でしょう。


外貨を所有することによって、確保している資産に対してのリスクを分散させるといった海外では極基本的となされている概念すら、多くの日本人は実行してはいないのです。


そこで次に、世界、特にアジア諸国の投資の現状について紹介いたします。


アジア諸国の投資形態

実は昨今、アジア諸国は世界中の投資家から注目されています。
その理由は様々ですが、記憶に新しい2008年のリーマンショック以降も堅実な経済成長が確認されていることや、そもそも世界の人口の一割近くがアジアに集まっていること、世界のベンチャー企業がアジアに参入していること、仮想通貨の普及が認められていることが挙げるのではないでしょうか。


アジアには、インドネシア、シンガポール、マレーシア、ベトナム、香港など経済成長が注目されている国が多い中でも、特にフィリピンは投資に最も適した国として評価されつつあります。
そんなアジア諸国、ひいては世界的にはどのような投資の方法がとられているのでしょうか。


今回は「コア・サテライト投資」について解説します。


コア・サテライト投資

コア・サテライト投資とは、投じる資産を中核となる「コア(核)」と「サテライト(衛星)」に分けることで資産の安定保有を図るとともに、リスクを伴う資産を増加させることに目を向ける戦略をさします。


「コア」とはその名の通り、運用資産の中核をなす部分の事であり、「コア・サテライト
投資」においては長期的な安定が見込まれる商品に投じる資産の事です。
「コア」部分の投資は、高いリスクを避けることによって将来の保有資産の確実な安定を目的に運用します。


一方で「サテライト」部分の投資は、これからの成長が見込まれる商品や個人的に支援したい企業などを対象に、多少のリスクを冒してでも将来の資産を増加させるように運用することです。


これによって、運用資産の安定と増加を同時に達成することが可能となるのです。
しかし、当然のことながらこの方法についても注意すべき点はいくつかあります。
その中でも最も重要なのは「コア」と「サテライト」の比率を明確に決めておくことです。


「コア」の部分が大きくなれば資産の増加を図ることは困難になり、「サテライト」の比率を上げすぎれば損失を被るリスクが高まってしまいます。
一般的に「コア」と「サテライト」の比率はそれぞれ7対3が理想とされているため、比率を注視しながら運用することが大切です。


日本とアジア諸国の投資を比較

さて、ここで「コア・サテライト投資」を熟知しているアジア諸国と、そうでない投資家の割合の多い日本との比較を行ってみましょう。
先にも述べた通り、日本では投資家の多くが自国の通貨を自国の企業に投資するケースが比較的よくみられます。


しかしながら、投資の対象としての日本は世界的な視野でみると、GDPなどの面からしてもあまり魅力的ではないという見方もできます。
日本人は資本の安定化を望む傾向にあるため、無意識的に「コア・サテライト投資」を行なっていたとしても、結果として「コア」の割合が多くなってしまっているのです。


一方で日本を除くアジア諸国では国内通貨に留まらず外貨を運用しての「コア・サテライト投資」がなされています。
そのため自国の経済状況に左右されることなく、資産の運用が可能になっているのです。


よって、このままでは日本だけがアジア諸国から経済的に取り残されることになってしまいかねないと言っても過言ではないでしょう。

なぜ日本だけが取り残されるのか

では、なぜ日本がこの現状を改善することができないのか、その理由について考察します。
その要因として、投資の視野が局所的になっていることが挙げられます。
外貨の運用を行なわず、自国通貨を自国企業に投資することは世界規模の経済的な観点からは「コア」の部分にしか投資できていないことになるのです。


さらに、その「コア」の部分でさえ、世界的には安定しているとは言えない現状のため、このような状態から脱却するには「大域的な」観点からの「コア・サテライト投資」が求められています。
いくら「コア・サテライト投資」を有効に行なっていたとしても、投資対象が日本という極めて局所的であれば、その恩恵を充分に得られるとは考えられません。

そのため、単に「コア・サテライト投資」を行なうだけでなく、外貨を適切に運用する必要があります。
投資の基本である「通貨」と「投資先」を見直すことが、日本人には必要不可欠なのです。


まとめ

現状、日本の投資は自国通貨を自国企業にのみ投じるケースが多く、将来的に充分な資産を獲得することが難しくなっています。


一方で、世界では外貨を運用した「コア・サテライト投資」によって資産の安定と増加を同時に図られているのです。
日本を除くアジア諸国が投資対象としての魅力を高めている中で、日本は極めて厳しい立場に追い込まれており、このままではアジア諸国から日本だけが取り残されることになってしまいかねません。


この状況を脱極するためにも、これからの日本では外貨を運用して自国の経済状況に左右されないような「大域的コア・サテライト投資」が必要であるといえるのではないでしょうか。