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芸術家に投資?!

芸術家への投資と言えば、欧米のパトロン文化が広く知られています。

しかし、ここで言う投資は、芸術家に投資しリターンを得ることで、パトロネージュとは少し異なります。1980年代から伸び続けるアートマーケットは、堅調に上昇している米国株と同様に勢いを増しているのです。

アートは安定資産として位置づけられ、最近では誰でも気軽に、芸術家に投資できる時代になりました。

今回は、芸術家に投資する方法や注意点をご紹介いたします。

芸術家に投資する理由

ミレニアル世代が芸術家に投資する理由の1つに、オンラインギャラリーの出現があります。
オンラインギャラリーは、世界中のアートにアクセスができ、簡単にアートを購入できます。
世界的に有名なオークションハウスで、バスキアやバンクシーが落札されたことも現代アート人気を助長しました。
アートは、ビジネスシーンや社交の場で、必要な教養として欠かせないツールです。
同時に、金融緩和の影響によりアートが投資対象として注目を集め、世界中で投資熱が高まっているのです。
一流のギャラリーやオークションハウスは、若い世代のコレクターに特化したマーケティング戦略を行っています。
他にも、オーナーの権利を分割して、少額から投資ができるアートマーケットがあるのです。
新しいシステムによって、アート購入の敷居を下げ、より芸術家への投資を身近にしています。

芸術家に投資する方法

注目されるアートの世界で、芸術家に投資するには、どのような方法があるのでしょうか。
ここでは、2種類のアート市場や、新たなマーケットについてご紹介します。

プライマリーマーケット

アート市場の1つであるプライマリーマーケットは、第一段階の市場で作家が直接作品を販売することです。
作家は、新しい作品をギャラリーや個展で発表するため、贋作の可能性がありません。
多くの作家はアートフェアやギャラリーで個展を開き、地道な実績を重ねてコレクターを増やしているのです。
コレクターは、ギャラリーなどで気に入った作家の作品を見極め、低価格帯で購入できます。
そして、作家の成長を見守りながら応援できる楽しみがあります。
プライマリーマーケットは、作家の将来性を見極めることができれば、セカンダリーで価格が高騰した場合に、大きな利益を得られるでしょう。

セカンダリーマーケット

セカンダリーマーケットは第二段階の市場で、一度売買された作品を再び市場に出すことです。
多くの作品は、クリスティーズやサザビーズなどのオークションハウスを介します。
市場評価が基準のため、需要に比例して価格が上昇し、何億、何百億といった想像を超える額になることがあります。
セカンダリーマーケットでは、コレクターや、作品を買い支えるギャラリーなどの思惑が反映されるため、非常にリアルな評価です。
そのため、高い金額で流通しており、マネーゲームのように捉えられ批判されることがあります。
また、セカンダリーマーケットは、第二段階の市場のため、有名なオークションハウスでも贋作の危険性があります。

アートプラットフォーム

最近話題のアートプラットフォームは、少ない金額でアート作品のオーナーになることができます。
オーナーの権利を分割することで投資額を抑え、共同オーナー権利を保有する仕組みで、オーナー証明書が発行されます。
100円から始められ、オーナー権利はプラットフォーム上で売買することが可能です。
人気の現代アートは価格が上昇しており、売却差益を得るなど、アートで資産形成ができます。
他にも、1万円から共同保有できるサイトでは現代アートを手頃な価格で販売しているのです。
どちらも、専門家やプロの監修の下で厳選された作品を掲載しており、信頼性が高いと言えます。

芸術家に投資するときの注意点

芸術家に投資するとき、アートの良し悪しや基準が分からず、悩むことも多いでしょう。
ここでは、投資する際に知っておくべき注意点をご紹介します。

目利きが必要

アートの購入は、何と言っても目利きが必要です。
注意深く確認し購入して贋作をつかんでしまうことほど、悲しいことはありません。
最近は精巧な複製が可能になり、デパートや展示会などで、贋作が高値で取引されることもあります。
展示会で版画などの作品を見ていると、あれ?以前もあったな、流通の多さやバランスがおかしいな、と思うことがあります。
とはいえ、贋作と気づくことは難しいので、たくさんの作品を見て慣れることが大切です。
また、信用できるギャラリーや、専門家がいる所に投資することも重要です。
投資する時は、多くの専門家や造詣の深い人と交流し、様々な情報を得ておきましょう。

価格の基準

アートは明確な価格の基準がないため、同じ作家でも購入する場所によって価格が異なります。
オークション市場では、他で売れていた作家であっても、取引実績がなければ売却は困難だと判断されることがあります。
また、作品を競りあうことで、本来の相場より高く落札してしまうリスクにも注意しなければなりません。
美術品の資産価値は、生前に高い評価を得た作家でも、知らない間に人気が下がっていることがあるのです。
アートは作家の知名度が安心材料になるとは限らないので、市場価値の動向をチェックする必要があります。

流動性の問題

アートは価格の基準が不透明で、流動性が低いという問題があります。
ギャラリーの買い取りでは買値より安くなることが多々あり、オークションも基準をクリアするのに手間がかかります。
他の金融商品と比べて流動性が低いため、人気が低迷すれば、かなり安値で手放すことになるのです。
様々なアートプラットフォームでは、アートの流動性を上げる試みを企画しています。
アート投資は需要が拡大していますが、流動性を2%上げることができれば、マーケットは現在の2倍に拡大すると予想しているのです。
新しいマーケットで、流動性の向上が実現すれば、さらにアート市場は活性化するでしょう。

まとめ

芸術家に投資する方法や注意点をご紹介しました。
欧米のパトロン文化に始まり、今では手軽にインターネットから芸術家に投資できるようになったことで、アートの世界も変革の時代が来ています。
芸術家に投資するなら、造詣をさらに深めて多くのことを学び変えなければなりません。
それぞれのマーケットとプラットフォームが問題点を補うことができれば、流動性を向上させ、市場がさらに活性されます。
そして、欧米のように芸術家が育つ環境が整い、さらに芸術が身近になるでしょう。