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一口馬主

馬主資格を持たずに競走馬の馬主になれる、一口馬主をご存知でしょうか。
ひと昔前、収入に余裕がある世代は馬主になることがステータスで、ヨーロッパでは、競馬場が社交場として機能しています。
馬主になるには高いハードルがありますが、一口馬主は1頭の総額を分割しており、出資しやすいシステムです。
レースで出資馬が勝利したら口数に応じて賞金が分配されるという、夢がある投資です。


今回は、一口馬主のしくみについてご紹介いたします。

馬主とは

馬主とは、競走馬のオーナーのことで、現役時代から長期間、競走馬の活躍を支えます。
個人でJRAの馬主になるには、収入面の要件があります。
継続的に得られる見込み所得と、過去2年の所得が1700万円以上、継続的に保有する資産が7500万円以上あることです。
個人馬主の他に、組合馬主、法人馬主も、それぞれ要件があります。
また、1頭の競争馬には、馬主をはじめ調教師、生産者、騎手など、多くの人々が活躍を支えているのです。


馬主は競走馬の名前を自分で決め、調教師に調教を預託して、厩舎でトレーニングなどを行います。
そして様々なレースに出走し既定の順位に入ると、賞金を獲得することができます。
競りで見初めた馬が優勝し、馬主として表彰式で口取りに参加することはこの上ない喜びです。

一口馬主とは

一口馬主とは、競走馬を所有するクラブ法人が1頭の競走馬を40~500口数に分割し、出資募集する形態の疑似馬主システムです。


昨今、一口馬主の競走馬は馬主リーティング(収得賞金順)の上位を独占し、非常に注目されています。
一口馬主を始めるには、所属するクラブで募集している馬を選択して一口単位で出資を行います。
その際、正式な馬主登録に必要な収入面の要件はありません。
馬主のハードルが非常に低いため、最小数万円程度の出資で馬主になれます。
出資者は、会費の他に必要な費用を毎月支払い、レースの獲得賞金を口数に応じて受け取ることができます。
しかし、一口馬主は正式な馬主ではないため、馬主席の入場や厩舎などの訪問、引退の決定など馬主が持つ権利がありません。

一口馬主のしくみとJRAの関係

これまで、馬主と一口馬主についての違いをご紹介しました。
次は、一口馬主のしくみや、JRAとの関係についてご説明します。

一口馬主のしくみ

一口馬主は、馬主資格を持たない「愛馬会法人」と、馬主資格を持つ「クラブ法人」2つの法人で成り立ち、総称して「一口馬主クラブ」と言います。
愛馬会法人は、募集馬の購入、会員へ出資募集、出資契約の締結(匿名組合契約)を行います。
また、JRAの規約上では馬主資格がないため、クラブ法人へ競走馬を現物出資しているのです。


クラブ法人は、JRAに馬主として競走馬を登録し、レースに出走させます。
一口馬主を始める際は、愛馬会法人の会員になり、出資募集中の馬に出資します。
レースの獲得賞金は、クラブ法人、愛馬会法人、会員の順に分配が行われるのです。
そして、一口馬主は、商品ファンドという形態で金融商品として扱われています。
金融庁の監督下で監査や指導があるため、安心して出資できます。

一口馬主とJRAの関係

JRAの馬主は、個人馬主・法人馬主・組合馬主の3形態があります。
一口馬主クラブは、クラブ法人が馬主資格を持つため、法人馬主という位置づけです。
しかし、JRAと一口馬主の会員は、直接的な関係はありません。
会員は、愛馬会法人と匿名組合契約をしており、クラブ法人とも、あまり接する機会がないでしょう。
また、愛馬会法人と同様に、一口馬主も馬主資格はありません。
一口馬主は、どちらかと言えば出資の要素が強く、不特定多数に募集するという特殊性もあります。


そのため、JRAは各クラブからの代表出席者が介する連絡会などで、情報共有などのクリーンな体質維持に取り組んでいるのです。

一口馬主にかかる費用

一口馬主にかかる費用は、何にどれくらい必要なのでしょうか。

・クラブ入会費用

クラブに入会する際に支払う費用で、およそ2万円前後必要です。

・出資金

出資馬に対して支払う費用で、1口あたりの価格に対して、出資口数分を支払います。

・クラブ月会費

毎月クラブに支払う会費で、およそ3000円前後必要です。

・馬維持費用

出資馬の維持費用で、平均50万円程度を口数に応じて毎月負担します。

主に牧場や厩舎への預託費用、厩務員などの人件費や、日々必要な費用に使われているのです。

・保険料費用

各クラブは、2歳以上競走馬の生命保険に加入しており、年1回支払います。

一口馬主と言っても、費用はそれなりに必要です。

毎月必要な最低限の費用と出資口数を計算し、出資バランスを考慮して運用しなければなりません。

一口馬主の種類

一口馬主クラブは、仕入れ・募集口数・募集価格帯の、3つに分類することが可能です。

・仕入方法で分類

競りや牧場の直取引のバイヤー系と、生産牧場が母体の牧場系に大別できます。

牧場系は、さらに3つの特色で分けられます。

大手社台グループ、多数の小さい牧場の集合体、単独・少数の牧場が運営するタイプです。

・1口あたりの募集口数で分類

1頭2000万円の出資馬は、同じ社台系でも募集口数によって、違いがあります。

例えば、大口出資は40口募集で1口50万円、小口出資は400口募集なら1口5万円です。

大口はハイリスクハイリターン、小口はローリスクローリターンと考えられるでしょう。

出資持分は、出資金・月額維持費・配当金に反映されます。

・募集口数・募集価格帯で分類

クラブの形態が多様になり、仕入れ・募集口数・募集価格帯の3種類をミックスした、様々な運営形態が存在します。

出資馬の選定ポイント

一口馬主を始める時は、出資馬の選定も悩みますが、基礎的なポイントを知っておきましょう。
実は多くの調教師は、馬の姿を見ただけで、この馬が走る、とは分からないのです。
価格や系統が能力を発揮することや、逆に、走らない馬は分かることもあるそうです。
そのため、出資の選択肢を広げ、クラブごとの特徴、募集価格と投資回収率、特色を比べます。
競りの実況で、馬の姿や系統、価格を見続けると、人気馬の傾向が少し分かることもあります。
悩みすぎる時は、好きな父母の仔や色々な人に話を聞き、経験を積みながら分散して出資するのが良いでしょう。

まとめ

一口馬主のしくみや費用について、ご紹介しました。

馬主は非常にハードルが高いものですが、一口馬主は少ない額で馬主ライフを楽しむことができます。

出資した愛馬が優勝して、成長や賞金を受け取れる喜びは、どのような形態の馬主であっても同じです。

一口馬主は利益を得られる可能性を信じ、出資馬の成長を応援する夢を共有できるのです。