日本国内における富裕層の割合は約2%、日本人の50人に1人がお金持ちです。
1億から10億、もしくはそれ以上のお金を、彼らは何に投資しているのでしょうか。
海外では、富裕層の資産管理や運用を行うプライベート・バンクが広く普及しており、数世代にわたり信頼関係が続いているケースも少なくありません。
日本でも富裕層の増加に伴い、富裕層向けのサービスを行う会社が存在するのです。
今回は、富裕層が投資している金融商品などをご紹介します。
富裕層向けの金融商品
富裕層は、自分の資産をどのような金融商品で運用をしているのでしょうか。
安定したリターンを得るために、長期、分散、積立という運用方針は同じです。
ここでは、プライベート・バンクで扱う、高利回りの金融商品をご紹介します。
ハイブリッド証券
ハイブリッド証券は、債券と株式、両方の特徴をもった証券のことです。
具体的には、優先株、劣後債、優先出資証券などがあります。
優先株は、余剰金の配当や剰余財産の分配を、普通株式より優先して受け取ることが可能です。
しかし、株主総会の議決権行使は制限されているのです。
劣後債は、元利金の支払いを後順位にしているため、利回りは高めに設定されています。
優先出資証券は、協同組織金融機関が自己資本を充実する目的で、広く一般から出資を募る目的で発行します。
配当や残余財産の分配が、普通の出資証券に優先する権利を認められている証券です。
ハイブリッド証券は、リスクを取ることで、普通の債券よりも高いクーポン(利子)を得られる商品です。
仕組債
仕組債は、投資家などのニーズに合わせて、仕組みを作ることができる債券です。
商品は、一般的な債券にスワップやオプション、デリバティブを組み合わせます。
代表的な仕組債として、EB債とリンク債(株価指数連動)があります。
仕組債は対象銘柄の価格に連動して条件が変動するため、通常の債券より格段に高い利回りが期待できる商品です。
しかし、一般的な債券のリスクに加え、クーポン減少・償還金額減少・債務不履行発生のリスクがあります。
仕組債の運用には、使う予定のない潤沢な資金があることや、最大損失許容額の把握が必要です。
そして、運用の条件を決定する要素を熟知すること、自身の相場勘、有利な投資戦略があることも重要です。
ヘッジファンド
ヘッジファンドとは、富裕層などから私募によって資金を集めるファンドです。
投資対象は、先物やオプションなどのデリバティブといった、様々な手法があります。
主な手法は、ロングショート、イベントドリブン、アービトラージなどがあります。
例えば、ロングポジションは、売りと買いの取引を組み合せ、リスクヘッジする手法です。
ロングポジションは、ヘッジファンドの運用資産の3割を占める、メインの戦略です。
ヘッジファンドは、相場が下落している時も、利益を出せるような手法を取り入れています。
そのため、安定的な運用、ハイリスクハイリターン、分散投資など、目的や用途に合わせて、選択することが可能です。
富裕層が芸術に投資する背景
アート市場は世界中で注目されており、多くの富裕層が芸術作品に投資しています。
では、なぜアートにこれほど高額な投資するのか、その背景を少し見てみましょう。
金融緩和と市場拡大
アート市場が過熱する背景には、前例のない規模の金融緩和と、ネット市場の拡大があります。
世の中に出回るお金が増える一方で、投資対象になるアートは限りがあるため、価格が上昇するのは自然なことです。
価格が高騰したアートの多くは投資目的として、新興国の富裕層が購入していると言われています。
また、インターネットを介したアートの購入が、若い世代を中心に年々拡大しています。
例えば、オンラインオークションの参加や、少額投資でアート権利を共同保有するなど、市場が拡大しているのです。
それぞれ、世の中で認知されている様々な有名アーティストの作品を扱っています。
長期的な金融資産
アートは、投資の側面から見ると他の投資より高い効果があり、長期的に安定した金融資産と言えます。
また、富裕層にとってアートは鑑賞する楽しみ、金融資産、アーティストの支援目的という意味があるのです。
世界で人気が高い印象派の作品は、長い期間を経て堅調に価格が上昇します。
例えば、現代アート作品の価格上昇率は、35年で2000倍以上の価格上昇をしているのです。
世界のアート市場の国別内訳は、1位アメリカ、2位中国、3位イギリスです。
この上位3か国が全体の80%以上を占めており、世界中でアートは資産という位置づけが高まっています。
資産の保護
欧米では、アートは資産として世代を超えて長く承継する、重要な投資対象でした。
長い歴史の中で、度々困難に見舞われた美術品は、その価値を保護しながら資産として承継されています。
現在も、アートは投資マーケットで売れるものを、アーティストや分野別に分散投資しています。
そして、オークションには出さずに、プライベートセールで処理しているのです。
資産価値が高いアートは、内容物にダメージが及ばない場所で厳重に保管されています。
フリーポートと呼ばれる施設では、高額で取引されたアートが厳重かつ秘密裏に保管されているのです。
有名なオークションハウス
お金持ちがアートに投資している、有名なオークションハウスをご紹介します。
Sotheby’s
Sotheby’sは、世界で初めての美術品オークションカンパニーです。
バンクシーの「愛はゴミ箱の中に」や、奈良美智の「ナイフ・ビハインド・バック」は有名です。
オークションに参加するには、登録手続を済ませ、落札方法を選択します。
落札方法は、オークションハウスで直接落札する方法や、電話またはインターネットで落札、ファックスで事前に予約をする方法があります。
Christie’s
Christie’sは、Sotheby’sと並ぶ、世界的に有名なオークションハウスです。
書家や画家で名高い蘇軾の「木石図」、レオナルド・ダ・ヴィンチ作とされる「サルバトール・ムンディ」は非常に有名です。
オークションには、銀行照会や本人確認を済ませてから参加します。
ネットオークションの場合は、身分証とクレジットカード情報を提出し、アカウントを開設します。
まとめ
お金持ちが投資するものをご紹介しました。
ご紹介した投資商品のポイントは、まとまった資金とリスクを知ること、そしてそのリスクを許容できることです。
彼らは様々なシーンで投資を行っています。
そして、投資の基本の延長線上に、有利とリスク、安定したリターンがあると理解しているのです。