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日本は投資に対してブルーオーシャン

日本の上場企業のうち99%以上が日本に本社を置いていることや、その株主の7割が国内の金融機関や個人投資家で、外国人投資家は3割程度だということをご存じでしょうか。


一方で日本株売買における外国人投資家のシェアは約6~7割に跳ね上がり、先物市場においては7~8割といわれています。
故に日本は投資に対してブルーオーシャンといえるのかもしれません。
莫大な利益を取り込める可能性があるにもかかわらず、投資に消極的な背景には以下のような理由があるのです。


現預金に偏る金融資産

日本の家計の金融資産残高は2000兆円弱で、そのうち半数を超える割合が現預金に偏っています。
米国や英国では現預金の比率は日本の半数以下で、逆に株式や投資の比率が高いのです。


まさに日本が金融後進国であるという所以は、貯蓄を美徳とし、世界情勢とはあまり関係を持たず、少ない金利でも安全な金融商品が良いとされているところにあるでしょう。


前年から変動したのはせいぜい投資信託と株式などですが、米英に比べてまだまだ保有比率が低く運用リターンを得られていないため、金融資産額も低いままです。
なぜなら一番資金力のある年金世代の多くは投資で増やす必要がないと考え、退職金や相続財産、年金などの資産を老後のために、減らさないことを優先することが多いためです。


一方で若い世代は低金利で住宅を購入し、所得をローンの返済や教育資金に充てることで投資する資金が限られるため、金融資産を増やすことまで手も頭も回らない状態になりがちです。
加えて日本人の金融資産額の低下には、低金利の預貯金に多くの資金が滞留し続けたこと、そして投資を必要とせず、預金だけで資金を増やすことができた時代があったことも大きな理由だといえます。


こういった現状に至るまでのプロセスについて以下で述べていきます。


投資しなくても増やせた資産

日本ではバブル前までリスクを抱えるような投資をしなくても、貯蓄だけで資産を増やすことができました。
定期預金にすれば数年後、元本の倍になるような金額を手にしていたのです。
また終身雇用が当然だったため良い大学に入り、大企業に入社さえすれば給与も雇用も約束され将来は安泰でした。
毎日変わらない労働をし、結婚し車やマイホームを購入して子供を独立させ、定年を迎えると悠々自適な生活ができる退職金を受け取り、年金も支給されるのです。


大企業に勤めているという一点だけで将来の幸せが約束されていたため、投資など必要ありませんでした。
しかも不動産価値は下がらないといわれていたので、マイホームを購入しても損をすることはなく、退職金で返済し年金で生活ができる暮らしができたのです。


日本の投資に対する心理

投資をするときに安心感があるため、聞き覚えのある会社や自国の企業を選びがちではないでしょうか。
ホームバイアスとは上記のような知名度をあてに自国の資産に多投資してしまう行動です。


日本人の投資に対する心理はこの行動に影響されることが多いという検証があり、運用リターンを引き下げる大きな要因となっています。
日本株に多く投資し大損したとしても自国に投資し、たとえ他国の株に投資して2倍になったとしても、利益が少ない自国への投資にさらに回してしまうことを容認してしまうのが現状です。


また、よくある事例のひとつに他人と同じ行動をしてしまう、ハーディング効果というのがあります。
数年前から保有していた株が利益を出したとき、人は友人や同僚に話します。
話を聞いた友人や同僚が投資をすることにより、流入に加速がつき価格が市場最高値を記録した後、一気に下落して低迷しました。


本来なら下がったものを買えば良いのですが、市場の状況を客観視できず周りと同じ行動をして、高値で買ったまま塩漬けしてしまい投資リターンを下げるのです。
バブル景気で投資に興味をもった人のなかには深い知識を有さず、ホームバイアスとハーディング効果、これらの行動ギャップを回避することができない人が多くいたことも印象的だといえるでしょう。


金融リテラシーが低い

日本は金融リテラシーが低いといわれており、バブル時は投資の知識が全くなくても、多くの人が投資話に飛びつき大きな利益を得ることがよくありました。
ある程度の利益を得て、早々に長期運用と分散投資などでリスク回避をした人もいれば、いつまでも利益を追いかけ大きなリスクを抱えた人もいます。


これは時代が過剰な経済拡大期だったこと、金融リテラシーが低い、つまりお金に関する制度や最低限の知識を得ていなかったことが大きな要因です。
金融リテラシーは金融、経済、お金に対する知識や教養を意味します。


バブルを境に資産運用をやめた人と、以前から投資をしていてバブルの恩恵を受け、継続して投資をしている人とはお金や投資に対する考え方が全く違います。
正しいお金の管理や価値を理解し、仕事や事業に関する感覚やセンス、経済や社会問題などの洞察力や仕組みを知ることで世の中の状況を見ながら投資する意識が必要です。


もちろん知識も必要ですが、市場と世の中をしっかり観察してリスクを回避すること、市場の動きを察知する感覚も必要不可欠なのです。


年齢によって異なる資産運用

現在の若い世代の社会保障費は極端に少なく、低賃金で非正規雇用も全体の4割を占めており共働き世帯も増え将来に対する不安があります。
こうした現状から、将来に向けての資産運用について早くから知識を得て、時代に即した投資をする人が増えているのです。


しかし、若い世代はインフレや複利、分散投資などの基礎的な内容について圧倒的に知識や経験が不足しています。
60歳以上は過去に物価が上昇した環境を経験しているため理解できますが、若い世代は理解度が低いのが現状です。


現代の20~30代は年金を受け取る年齢を引上げられ、終身雇用も望めず、車やマイホームを購入することや結婚など将来を見通せず、従来の生涯設計とは様相が異なっています。
早期起業や投資などする際には、お金の知識や判断力を少しずつ身につけて、世の中にアンテナを張り理解を深めることが何よりも重要になるといえるのではないでしょうか。


まとめ

日本は投資に対してブルーオーシャンだということについて、ご紹介しました。
日本人のお金に対する考え方や心理、現状をふりかえると、確かに多くの可能性を手放していることをお判りいただけたでしょう。
日経平均が500円以上動くときは外国人投資家が影響しているといわれているのです。


外国人投資家のなかには、大手金融機関など日本の機関投資家が、海外の投資顧問会社に資金を預けている場合もあります。
株式市場や先物市場などを含め、こうした外国人投資家の動向を把握することも大切です。


これから先、可能性を手にしたいなら、不確実性がもたらす変化を察知する必要があります。


投資が良い方向や悪い方向へ向いた場合でも、基礎知識を学んでおくと臨機応変に対応することができるのです。