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海外積み立ての落とし穴

未来の収益を見込んで自身の資本を投じることを投資といい、昨今では多くの金融商品が出回っています。
現代において、人々は自らの将来のために資産を確保しようと投資に興味を寄せているのです。
様々な投資の方法がある中で、最近話題になっているのが「海外積み立て」です。


そこで今回は、この海外積み立てに関するメリットとそこに潜む危険性についてご紹介します。


海外積み立てとその仕組み

海外積み立てはオフショア投資とも呼ばれ、投資で得た利益について税率が低い、もしくは税金が課されない特定の地域で行われる投資形態を指します。


この「特定の地域」は様々な事情で海外からの投資を歓迎しており、「タックスヘイブン」という名で知られています。
これは、投資で得た利益をほぼそのまま資産にすることができるため、多くの人々に注目されているのです。


海外積み立ての仕組み

しかし、海外積み立てに関する金融商品は、その購入が金融庁にほとんど認可されていません。
そのため、金融商品を購入する際には必ずIFAと呼ばれる海外の独立系ファイナンシャルアドバイザーを介することになります。


さらに、購入者自らが海外のIFAと交渉することは非常に困難であるため、国内の代理店を通してIFAと契約するケースが主流です。
もちろん、代理店を通さずに購入者が直接IFAと交渉・契約することも可能ですが、その際はライセンスの有無や実績など、IFAについての情報をしっかりと収集することが重要になります。


主な対象地域と契約について

次に、この海外積み立ての対象となり得る地域について説明します。
先ほどご紹介した「タックスヘイブン」と呼ばれる地域では、海外積み立ての話題性からオフショア金融センターと呼ばれる施設も存在し、投資に関する法制度の整備や、独自の政策がなされています。


本来は政治的・経済的にも不安定であったこの「タックスヘイブン」ですが、近年では安定化が見込まれているのです。
また、海外積み立ての代表的な地域としては、アジアでは香港やシンガポール、マカオ。アラブではドバイ。


またヨーロッパではジャージー島やモナコ、ルクセンブルク、リヒテンシュタインなどが挙げられます。
さらに、その他地域としてケイマン島、バハマ、パナマ、バミューダなどが挙げられます。


海外積み立ての利点と落とし穴

海外積み立てについての基本的な知識を述べてきましたが、以降ではその利点と注意するべき落とし穴について考えてみることにしましょう。


海外積み立ての利点

まず、海外積み立ては利回りが高いというメリットがあります。
これは実際のデータからも明らかなことで、直近5年ほどの傾向から高水準の利回りを維持していると報告されています。


この利回りの高さこそ、海外積み立てにおける最も大きなメリットといえるでしょう。


次にメリットとして挙げられるのは、非常に多くの金融商品が存在しているということです。
そのため、いくつかの金融商品の比較や組み合わせによって、自身の要望に合った投資が可能になります。


最後のメリットは、海外積み立てで得た利益に対して課税がされない、もしくは課税されたとしてもそれが非常に軽微であるということです。
恐らく海外積み立てが注目されている最も大きな理由になるでしょう。
さて、これだけの魅力を持った海外積み立てですが、そこには当然注意するべき点が存在します。


海外積み立ての落とし穴

続いて、この海外積み立ての落とし穴ともいえる注意点について説明いたします。
落とし穴は大きく分けて3つ存在します。

まず1つ目は、途中解約による損失です。
海外積み立ては契約期間が5年刻みであり、その契約期間内での解約には解約手数料としての損失が発生します。
そのため投資のビギナーが海外積み立てを行なう場合は、契約期間を慎重に考える必要があるのです。
故に先にも述べた通り代理店を利用する際にはその代理店を、直接IFAを選定する場合にはそのIFAを吟味したうえで契約の計画を立てる必要があります。


一般的に海外積み立てが初心者に向かないとされているのは、このような理由なので、IFAの選定に代理店を仲介することが必要とされているのです。


次に2つ目の落とし穴として挙げられるのは、情報が少ないということです。
先に触れた金融庁の規制の影響もあり、日本においては海外積み立てに関する金融商品についての情報が手に入りづらい状況にあります。


それゆえ、金融商品や投資についての知識をある程度蓄えておかなければなりません。
これも投資の初心者に海外積み立てのハードルが高く感じる要因の1つです。


最後の落とし穴は為替リスクです。
海外積み立てはその名称から分かる通り、外貨を運用することになります。
そのため為替レートの変動からの影響を受けやすいことになります。
もっとも、これは海外積み立てに限ったリスクというわけではなく、外貨を扱う投資には常について回るリスクなのです。


また、一見してこれはリスクと捉えることも出来ますが、現在の日本の経済状態を考えると資産として日本円のみを保有しているより、外貨を運用するほうが安心であるという見方も出来ます。
資産を日本円と外貨で保有することで為替変動のリスクを分散させ、結果として資産を守ることに繋がるのです。


まとめ

今回は海外積み立ての仕組みやメリット、落とし穴についてご紹介させていただきました。
海外積み立てを簡単にまとめると「タックスヘイブン」と呼ばれる地域への投資のことを指し、投資としての利益を得やすいといわれている投資形態です。


メリットとしては利回りが高いこと、多種多様な金融商品が存在すること、利益に対する課税の影響が極めて小さいことが挙げられます。


その一方で、途中解約による損失の影響があることや金融商品に対する情報が少ないこと、為替リスクが変動するという落とし穴もあります。
一般的に海外積み立ては初心者にとってリスクが高いものとして紹介されることもありますが、IFAの選定を慎重に行い代理店を活用することによって、投資初心者でも海外積み立てで現在の資産を守ることが可能です。


海外積み立ては、将来の資産を増やすための有効な手段であるといえるでしょう。