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元本保証を謳うのはアリなのか

資産運用を始める際、損はしたくないと思います。
元本保証で利息が良いものはないかな?と考えられている方も多いのではないでしょうか?


実際は利息がとびぬけてよい商品ほど、元本が全額返還されなかったり、返還の際の条件が非常に多かったりすることが多いのです。
こういった商品の多くでは「元本保証めいた言葉」で投資を促してきますが、果たしてこのような記載は「アリ」なのでしょうか?


元本保証の有無、その違いと元本保証商品について、「アリ」か「ナシ」かの観点で取り上げていきたいと思います。


元本保証と認可

そもそも、元本保証とはどういうことで、どれくらいの金額が守られているのでしょうか。
また、金融商品取引業に認可があれば信用できる業者といえるのかも含めてご紹介いたします。


元本保証とは

元本保証とは、資金を預けている期間中いつ解約しても、最初に預けた資金(元本)を減らさずに返還するということです。
例えば、資金(元本)100万円を預け、利息が3ヶ月で10%受け取れる金融商品があったとしましょう。


元本保証を謳っている商品なら、1ヶ月で解約すると100万円の元本は全額返してくれます。
元本保証をしていない商品は、元本は返してくれません。
要するに、最初に預けた資金の全額をキッチリ返してくれるかどうか、ということになります。


金融商品取引業の認可とは

金融商品取引法では、金融取引業を開始するときは金融庁へ登録が義務付けられています。
しかし金融庁や財務局へ登録や届出をしても、届出企業の信用を保証しているものではありません。


届出は必須事項ですが、企業は金融庁から認可を受けているのではなく、金融商品取引業の登録業者となっているだけなのです。
無登録業者が認可を受けているといって、商品の元本保証を謳うことも募集することもできません。


元本保証がアリなのはコレだけ!

本当に保証されているものがあるのかについて、疑問を持っている方も多いかもしれませんが、元本保証が公にきちんと守られている商品もあるのです。
守られた金融商品には、どのようなものがあるのでしょうか。


安全な資産運用の定期預金

安全な資産運用で完全に元本保証を謳えるのは定期預金です。
預金にはほかにも普通預金や貯蓄預金があり、利息は低くとも元本は守られています。
また普通預金や定期預金などの一般預金、決済用預金は、金融機関が破綻したときに、預金保険制度の保護対象になりますので、安心して資産を預けることができます。


しかし、残念ながら現状では元本が保証されている金融商品の中で、資産が格段に増えるような利息がつくものはありません。
着実に資産を増やしていきたい方には、普通預金や定期預金はまさにノーリスクでリターンを得る方法として「アリ」だといえます。


国が保証する国債

国債とは国(政府)が発行する債券なので、元本保証を謳える商品です。
国が発行しているので信用性が高く、国が債務不履行にならない限り元本が返還されるため、リスクが低い金融商品です。


国債は、一口1万円から購入可能で年率0.05%の最低金利保証で、安心、安定の資産運用ができる非常に信頼性のある「アリ」な商品です。
発行元が企業の社債は金利が高い傾向にありますが、元本は保証されていないので、元本保証を謳えません。
国債と社債は似ていますが、全く特徴が違うので注意しましょう。


おすすめできない元本保証とは?

元本保証ではないことが多い金融商品は、内容をしっかり理解しなければ、後になって自身のニーズと合わないことに気付いたり、大損をしてしまったりする可能性を秘めています。
その中でも間違えやすい金融商品をご紹介します。


外貨預金と投資信託のセット

資産運用をしていくには比較的利率が良い外貨定期預金や投資信託ですが、ともに元本割れが生じるリスクがありますので、元本保証は謳えません。
為替レートが良いときに始めると、有利になることがありますが、外国為替相場に変動がない場合でも、満期時の円貨額により損をすることがあります。


また、外貨預金の為替手数料や投資信託の購入時手数料は、意外に高く結果的にマイナスになることがあります。
高金利のメリットをみると惑わされますが、仕組みをしっかり理解する必要がある金融商品ですので、元本保証を謳うものでは「ナシ」です。


元本確保型の運用

元本確保型の運用商品は、特定の条件を満たす場合のみ元本確保をしており、条件外の場合は元本割れになる可能性がある商品です。
例えば、学資保険や養老保険は満期まで保有すると、約束した額を受取ることができますが、途中で解約すると元本を下回ります。


元本確保型の投資信託がありますが、概要には「元本確保をめざします」と表記されています。
そもそも投資信託に元本保証はないので、元本確保をするというような商品ではありません。


元本確保や元本保証という触れ込みについ契約しそうになりますが、両方とも元本保証されていない金融商品だということを認識しましょう。


超高金利の元本保証に注意!

高利回りが期待できる株式やファンドは、分配金利回りが良く魅力的ですが、いずれも元本は保証されていませんので、元本保証を謳えません。
豊富な経験を持っていても資産運用はむずかしく、詐欺にあうこともあります。


ハイリスク・ハイリターンを心得ながら、手堅く利益を得るには注意することが必要な金融商品ですので、元本保証を謳うものではもちろん「ナシ」です。


ファンドに出資

無登録業者が、元本保証を謳い高利回りとして未公開株や、ファンドを募集していることがありますが、本来、元本保証を謳うことも募集することもできませんので要注意。
登録業者が販売や勧誘をするときは、リスク情報や必要な内容について、投資家に理解してもらえるだけ分かりやすい方法で説明しなければなりません。


ただしファンドは、将来性を判断して信頼できる業者へ投資することで、成功による大きな利益を得られることがあります。


一方であくまでもハイリスク・ハイリターン商品であることを忘れず、リスク分散をしておくのも賢い選択です。
元本保証を謳うものでは「ナシ」ですので、余剰が出た分で回すという認識の方が良いかもしれません。


不安になったときは、魅力に感じる金融商品でも一度契約を保留にして、金融庁に問い合わせてみましょう。


まとめ

金融商品の中でも元本保証がある商品や、保証のない商品をご説明しました。
完全に元本が保証される金融商品は、元本保証を謳うのは「アリ」です。
しかし、前述のように元本保証に似た条件のもの、元本の確保を目指す商品やハイリターンの期待ができる商品も多く存在します。


金融商品の専門用語は難易度が高く、素人では保証の有無について自分なりの理解をしてしまったり、だまされてしまったりすることもありますので、あくまでメリット・デメリットを整理して使い分ける必要があるでしょう。


元本が保証される際の仕組みがややこしい、あるいは実際には保証されない金融商品に元本保証を謳うのは「ナシ」ですので、これを念頭に置いて資産運用を始めてみましょう。