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ニーサは日本の幻

最近では、日本でもニーサ(NISA)がメジャーになってきました。
CMなどでも頻繁にその名称が流れるなど、銀行をはじめとした金融機関のクリーンな宣伝活動からハードルが下がって感じる方も多いかもしれません。
しかし、ニーサも投資の一環で、あくまで元本保証がされている商品ではありません。


そこで今回は、ニーサのデメリットや失敗談についてご紹介します。


ニーサのデメリットをチェック

まずはニーサのデメリットを見ていきたいと思います。
ニーサには、どういったデメリットがあるのかをチェックしていきましょう。


投資限度額が年間120万円

ニーサは、非課税投資枠が1年で120万円となっています。
よって個別株式投資をしようとしている場合には、注意をしなければいけません。
50万円になる3銘柄の株式に投資をするなら、2銘柄までは投資できますが、もう1つの銘柄は例え20万円分の非課税投資枠が残っていても、ニーサ枠では購入不可能です。


加えて投資単位が120万円以上となっている銘柄については、ニーサで投資はできないでしょう。


損益通算が不可能

損失が出たとしても、損益通算ができない点もニーサの難点です。
ニーサで株式などを売買して利益を出しても非課税となるものの、例え損失が出てもその損失を税の計算上ないものとみなされることが理由となります。


それにニーサで出した損失は、『損失の繰越控除』という、次の年に損失が繰り越されて次の年に得た利益と相殺にできるシステムも利用できません。


ニーサでの失敗談を見てみよう

投資をしていれば、成功するばかりではなく失敗をしてしまうこともあります。
ここで、ニーサではどういった失敗談があるのかについて、見ていきましょう。
ニーサを行った人たちは、どの様な失敗をしているのでしょうか。


ニーサ口座を開設前に株を購入し口座に移せない

ニーサのための口座を開設する前に株を購入して、後になっていざ口座に移そうとしたのに移せなかったという失敗談があります。
一般口座や特定口座といった課税口座で買い付けをした株・投資信託は、後からニーサの口座に移すことは不可能です。


最初にニーサの口座を開いて、ニーサの口座で買い付けた株や投資信託のみ、非課税となることができます。
ニーサで非課税投資をしようとお考えであれば、まずはニーサ用の口座を開設してください。


12月にニーサ口座を開き12月中は購入せず

前年の12月に慌ててニーサの口座を開いたものの、12月中には何も購入しなかったという事例もあります。
口座を開いたのは良いものの、12月は忙しい月ですし株を購入する時間的余裕がなかったという理由もあるかもしれません。


このような事例は、ニーサの口座があるのに”勿体ない”ということになりかねないでしょう。


売却損を出したものの損益通算できず

課税口座において9万円という売却益を出して、ニーサによって6万円の売却損を出したものの、損益通算ができなかったというケースがあります。
ニーサは損益通算ができない点が難点であることを、前もって知っておきましょう。
もし課税口座で売却益と売却損が10万円ずつ出たなら、損益通算ができます。
売却益と売却損が相殺となるので、総合的には売却損益が出ていませんし税金がかからないのです。


課税口座で10万円の売却益を出して、ニーサで売却損を10万円出したとしたら、損益通算ができないでしょう。
10万円の売却益に対して分離課税を選んでいたなら、20,315円の税金が必要になります。
もしニーサ口座で売却損を10万円出したとしても、支払った税金は戻りません。

ニーサでこれはやってはいけない

続いては、ニーサに関してNGとなる行為について迫ってみたいと思います。
先述の、ニーサの失敗談を踏まえて見ていきましょう。
ニーサでやってはいけないこととは、一体どういったことなのでしょうか。


買った株をニーサ口座に移せない

ニーサの口座を開設する前に株を購入し、口座に移せなかったという事例をご紹介しました。
この頃では、日本の株において配当利回りが4%以上となる銘柄が増加傾向にあります。
そうしたこともあり、ニーサの口座を開設して高配当利回りの株に長期的に投資しようと考える方も増えているのです。


そんな時には、口座を開設する前に株を購入するのはいけません。
先述のように、あらかじめニーサの口座を開設してから、株を購入するようにしましょう。


年末にニーサ口座を開いたものの年末中に購入せず

もし年末に駆け込みのようにしてニーサの口座を開設しても、その年の間に投資のアクションを起こさなければ、何にもなりません。
ニーサの口座では、年間で120万円まで非課税で投資ができるのが特徴です。
よってある年にニーサの口座を開いても、その1年の間に何も購入しなかったなら、その年の非課税分は消えてしまうでしょう。


その場合には、次の年に付与されるニーサ枠を使い投資するようにしてください。


2024年にニーサは変わる?

物事は日進月歩であり、新たに変わっていくものもあるものです。
実は、ニーサも変わるという話があるのを知っているでしょうか。
ここでは、これからニーサがどうなるのかについて、見ていきましょう。
ぜひ、今後の参考にしてみてください。


2024年に新たなニーサが導入予定

2024年から、新しいニーサが導入されることになりました。
これまでの一般ニーサとつみたてニーサが一緒になり、2階建ての制度となるのです。
ジュニアニーサというのもありますが、こちらは廃止となります。
新ニーサに移行後から投資を始めるなら、つみたてニーサ対象商品の積立である1階部分を始めておくことにより、場株式などにも投資できる枠である2階部分での投資ができるようになるでしょう。


非課税期間は5年間であり、非課税枠は1階が毎年20万円であり2階は毎年102万円になります。
新ニーサは、投資できる期間が2024年から2028年までに延長されるのも特徴です。


ニーサ制度の種類が増加し過ぎ?

ニーサ制度は、種類が増加し過ぎであると言われる傾向があります。
ニーサの種類が色々と増加したり廃止したりしていること、そして期間の延長、新しいニーサの誕生などニーサ自体が色々と変遷しているため、混乱してしまう人もいるからかもしれません。


ニーサがこれからどうなるのかを、しっかりと知っておく必要があるでしょう。


投資ビギナーには分かりにくい?

ニーサは、投資ビギナーにとっては制度の種類の多さで混乱してしまうこともあり、分かりにくいとされてきました。
新ニーサが導入されるのは、こうした分かりにくさを改善することも目的の一つとなっています。


しかしながら、新ニーサは投資をしたことのある人にとって、短期的な売買がしやすいように2段構造にしていますが、ビギナーからすればかえって分かりにくいともいえるでしょう。


まとめ

ニーサは、投資の限度額が120万円までであり損益通算ができない点がデメリットです。
また、ニーサの口座を開設する前に株を購入してしまい、口座に入れることができないというトラブルも発生することがあるでしょう。


それに昨年度の12月ニーサの口座を開設したものの、その12月中に何も購入しなかったという事例もあります。


もし口座を開設したなら、その年内に株を購入することが得策です。
そして2024年には、新たなニーサ制度が誕生することも控えています。

今後の動向をしっかり把握することが大切です。